「ニル・アドミラリの天秤 クロユリ炎陽譚」感想
「色ドリ撫子」という本編とFDが一緒になっているソフトで買ったので、帝都幻惑綺譚から続けてプレイしました。FDも一緒になっているので、初めてプレイする私の様なタイプにはお得なソフトだなと思います。個人的な評価は星3.5。
ファンディスクかと思いきやストーリーは大分しっかりとしています。
共通はなく、個別に分かれているので周回はしやすく、事件も各キャラで方向性が違うので、飽きずにワクワクしながら読み進めることができました。
攻略順はメーカーの推奨攻略順で大丈夫だと思います
キャラ別感想
【鴻上 滉】
推奨攻略順を見たときに彼がトップバッターなんだと驚きました。
付き合い始めて1年経つのに久世の実家に近づかない滉を見て将来に不安を感じるツグミちゃん。ツグミちゃん良いとこのお嬢さんだから付き合って実家に1年挨拶ないのは…そりゃ不安になるよなーと思いました。ただ、滉にとって私生児かつ犯罪者の弟ってかなり重い負い目なのは分かるので、すれ違いをどう解決するのか序盤は気になりました。
最後の千鳥ちゃんの先生に対する気持ちと先生からの千鳥ちゃんへの気持ちが分かった場面では思わずウルっと涙が出てしまいました。そんな千鳥ちゃんの気持ちが滉が将来に向けて動くきっかけになったと思います。
幸せになれよ~と思いました。
【星川 翡翠】
本編では母親との絆の物語をしたので、FDでは父親だと思っていたら本当にそうで嬉しかったです。
2人の関係は変わらずとっても可愛くて、てるてる坊主を作って神社に流しにいくシーンと休日に食べ歩きをしている翡翠には癒されました。
父親問題は二転三転しますが、ここで登場するのが雪加くん。彼が深く関わるのは後述の隼人と翡翠のルートなのですが、翡翠には「違う道を進めたもう1人の僕」、妬ましい・・・といった様に近づいてきます。最後は死に場所を求めてきた雪加くんが新しい人生を歩み始めたという終わり方でよかったと思います。ただ、そのへんの描写不足感は感じたので、もう少し雪加くんを描写してくれても良かったかな?
【鵜飼 昌吾】
最初に2人で蓮を見に行くスチルがとても綺麗で、昌吾の成長も感じられて、幸せに浸っていたら、まさかの許嫁騒動と連続婦女子殺人暴行事件...。事件の内容がエグい。ツグミちゃんが途中から幽霊に取りつかれてしまうので、気が滅入る展開が多かったです。
許嫁騒動では、雉子谷さんがツグミちゃんが悩んでいるとズバズバした意見を出してくれて、こういう立ち回りのキャラは大事!と思いました。ツグミちゃん、昌吾ともに成長しているので恋愛面ではあまり心配になる要素はなく、凄くお似合いの恋人同士だなと思いました。
もしかしたら、CPならニルアドで1番好きかもしれない。
【汀 紫鶴】
帝都に革命を起こそうとしている鵠居さんが紫鶴さんを何度もしつこく勧誘してきてというストーリー。昔あこがれていた人に対する思いからくる葛藤がよく伝わってきました。
恋愛面では飄々としていた紫鶴さんの感情が分かりやすくなったというか、終始ツグミちゃんのこと愛してるんだなと伝わってくるところが新鮮でした。
このルートで1番刺さったのはじいやの「人には身の丈というものがございます」という台詞です。人の上に立つとは責任が伴うことなのだと、誰にも恥じない生き方をすることが大事なのだと。このじいやの言葉があったから、ツグミちゃんはツグミらしく鵠居に立ち向かえたと思います。良いシーンでした。
最後、自分の書いた作品が稀モノと分かり、恥ずかしがって逃げる紫鶴さんは可愛かったです。
【尾崎 隼人】
またもや雪加くんが敵役の中心になるルート。隼人に対しては「自分を殺してくれる正義の味方」として期待し近づいてきます。
隼人は本当に完璧な人ですよね。言い方悪いですけど、主人公に絶対一途な乙女ゲーの相手役の理想を体現している感じ。彼の「正しさ」のぶれなさには一種の人間味の薄さすら感じる時があります。それは妹の事があったからかもしれないとENDを見て改めて思いました。
葦切さんと小瑠璃ちゃんのCPが無事にくっついたのが嬉しかったです。キスくらいサービスでしてくれてもいいのに...。
【鷺澤 累】
薔子さん好きの私は歓喜したルートです。
累としては、何者でもない学生の自分と社会人の彼女との差に悩みつつ、産みの母との関係を築いていくというルートだったと思います。ただ本筋の流れは薔子さんと蓮くんの「籠の鳥」コンビが担っていたので累が何を考えて動いているのか分かりづらく薄味だったのが残念だったかなと思います。最後にはそれぞれの行きたい場所を目指していく終わり方でよかったと思います。
家族ものに弱いので、最後に「母さん」と累が呼んだシーンは感動しました。
好きなキャラ
薔子さん、雉子谷さん
システム面
場面転換の演出、空→建物の外観→室内など多様されているのがくどく感じました。
BGM
印象に残る曲は少ないですが、作品の雰囲気にあっていたと思います。
前回ED「焔の鳥」が好きなので、今作でのピアノアレンジは要所で流れてくれて嬉しかったです。